働き方事例
アスター栽培からネギ栽培へ
菅井ファームでは、これまで夏期には仏花として利用される、アスターを栽培していました。
しかし、アスターの導入から10年以上経過し、栽培面積も50aから2haへと拡大しましたが、それに伴い収穫・調製の負担が大きくなり、作業が早朝・深夜に及ぶようになってしまいました。
社員や研修生からも、「買い物に行けない」「定休日がない」といった声もあり、アスター栽培の利点よりも難点が目に付くようになりました。
そこで、アスターに代わる夏期の品目について、JAや普及センターなどから情報収集した結果、初夏ネギ・夏ネギに着目しました。他にも、地域で栽培されているトウモロコシなども候補に上がりましたが、家族で話し合い、アスターから初夏ネギ・夏ネギへ転換しようと一大決心しました。
アスターのメリット・デメリット
- 【メリット】
- ◇価格が安定しており、特に最需要期の8月盆には高単価
- ◇導入経費が少ない
- ◇栽培管理が比較的簡単
- 【デメリット】
- ◇収穫・調製作業が煩雑で時間がかかる
- ◇8月盆の前に出荷が集中してしまう
初夏ネギ・夏ネギのメリット・デメリット
- 【メリット】
- ◇実需者ニーズが高く、価格が安定している
- ◇機械化により、作業効率化ができる
- ◇計画出荷ができることにより、定休日を設置することができる
- 【デメリット】
- ◇収穫機などの初期投資と資材費がかかる
- ◇トンネル換気のタイミングが難しい
- ◇高温期の品質維持が難しい
目標は高く
- 収穫機・調製機など一式(約1,000万円)を揃える
- アスター2haをすべてネギに転換する
- 5月下旬~8月上旬まで、日量300ケースを出荷する
目標とした出荷量は、同規模のベテラン生産者の最大出荷量に相当しますが、「挑戦するからにはトップを目指そう!」という思いで設定しました。また、目標を社員で共有し、モチベーションの向上にも努めました。
社員一丸となって目標達成
収穫前半は、土上げの失敗によりA品率がやや低下しましたが、すぐに修正したことで6月下旬には、目標の日量300ケースを達成することができました。
目標に向かって頑張ってきたことが報われ、社員一同で喜び合いました。
課題となっていた労働環境については、機械化により作業時間が短縮され、収穫時期でも定時に作業を終了することができました。さらに、計画出荷により定休日を毎週設置することもでき、働き方改革が実現されました。
社員は休日を趣味の時間に割くことができ、仕事のモチベーションに繋がっています。収益面では、夏期の単価高にも助けられて、経費を含めた初期費用を一年で回収することができました。
「儲かる農業」を目指して
安定した収入の確保、働き方改革による楽しい農業の実現といった目標を達成できたことから2年目には面積を3haに拡大したうえ、新たな設備投資を行い、稼働効率を考慮した作業場内の機材の配置などを検討した結果、日量500ケースを達成することができました。
これからも、売り上げだけでなく、心も豊かになる「儲かる農業」の実現を目指します。